スコールにより大混乱となったレースを制したのはバトン 開幕2連勝を達成 ~2009年F-1第2戦 マレーシアGP 決勝~


■決勝順位(ポイント圏内のみ)
優勝 J.バトン
2位 N.ハイドフェルド
3位 T.グロック
4位 J.トゥルーリ
5位 R.バリチェロ
6位 M.ウェバー
7位 L.ハミルトン
8位 N.ロズベルグ
2009年F-1第2戦マレーシアGP決勝は、ブラウンGPのバトンが開幕戦に続いて2連勝を達成。豪雨によりレースが途中で終了という大波乱にも、バトンとブラウンGPは強さと速さを見せた。注目のトヨタ勢はグロック3位、トゥルーリ4位となり、上位入賞を果たしたものの初優勝はならず。そしてフェラーリは2台とも入賞圏外、まさかの2戦連続ノーポイントに終わった。
●スタート ポールのバトン出遅れ ロズベルグがトップに立つ
全車ソフトタイヤでのスタートを選択。スタートではクビサがマシンを動かせず、激しくイエローが振られる。トップ争いは4番手のロズベルグがスタートダッシュを決め、1コーナーでトップを奪う。続いてトゥルーリ、アロンソがKERS搭載の利を活かして3番手にジャンプアップ。ポールのバトンは4番手に落ちた。バリチェロが5番手、ライコネンが6番手に続く。後方ではコバライネンがサンドトラップに捕まりリタイヤ。2戦連続での早期離脱となってしまった。1周目の終わり、バトンがアロンソを交わして3番手に浮上。中嶋はKERS搭載車・ピケの後ろの14位に後退。スタートで大きく出遅れたクビサはやはりエンジンのトラブル。彼もマシンを止めた。
3周目、バリチェロが1コーナーで燃料をたっぷり積んだアロンソのインを着いてようやく4番手浮上。アロンソの後ろにライコネン、ウェバー、グロックが一団となっている。バリチェロはアロンソを抜いていったが、ライコネンは抜くきっかけがつかめない。6周目、グロックがウェバーに仕掛けるが微かに接触し、フロントウィングを痛めてしまった。空には不気味な真っ黒の雲が覆っている。10周目、ライコネンがようやくアロンソをパスして5番手浮上。そして12周目にはウェバーにパスされた。今日のレース、アロンソにとってはガマンのレースになっている。
13周目、1回目の給油ストップに最初に飛び込んだのはベッテル。14周目にトップのロズベルグが給油を終え、4番手でコースに復帰。グロックも同一周でピットへ。翌周にウェバーも入る。16周目、暫定トップのトゥルーリがピットイン、ロズベルグの後ろでコース復帰。トップに立ったバトンはここでスパートを駆ける。なんと18周目には、まだ雨が降っていないにもかかわらずライコネンがヘビーウェットタイヤに交換。大きな賭けだ。確かに空は大きな黒い雲に覆われ、今にも大降りとなりそうな雰囲気だが。19周目、バトンはソフトのニュータイヤに交換。ロズベルグの前で復帰し、トップを奪還した。翌周にはチームメイトのバリチェロが給油を行うが、ピットアウト時のスタートに手間取りトゥルーリの背後でコース復帰する。
●セパンのスコール襲来 大混乱のレースを制したのはバトン
20周を過ぎたところでいよいよ雨が降り始めた。雨に足元を救われたアロンソがターン7でコースアウト、何とかマシンは壊さずにコースに復帰。ここで上位陣が続々とピットインし、ヘビーウェットタイヤに交換する。風雨が激しさを増し、各車のタイムがかなり落ちている。時折稲妻も光っている。
26周目、雨がやや小降りになり、ベッテルがインターミディエイトに交換。ハミルトンもインターミディエイトに交換。トヨタのグロックのペースが良く順位を上げているが、彼は最初からインターミディエイトだった。今のコンディションではインターミディエイトの方が速い。トゥルーリ、バリチェロ、ウェバーら続々とインターミディエイトに交換。
しかし直後に雨が再び局地的に強くなる。雷がサーキット近くに落ち、一瞬中継画面が落ちたほどの悪コンディションだ。バトンはインターミディエイトに交換しグロックの後ろでコースに復帰するが、グロックはバトンを抑えきれない。最終コーナーでバトンがグロックをパスし、トップに復帰する。この悪コンディションのためグロックは即ヘビーウェットに交換し、他のマシンもヘビーウェットに交換している。しかし前がほとんど見えないほどの激しい雨がサーキットを叩き付けている。トップのバトンも再びヘビーウェットに交換し、トップでコースに復帰する。
ついに33周目にセーフティーカーの出動。そして赤旗、レース中断となった。赤旗直前にコースアウトするマシンが続出していた。
上位陣の順位を整理すると、バトン、グロック、ハイドフェルド、トゥルーリ、バリチェロ、ハミルトン、ロズベルグ、ウェバーまでがポイント圏内(ただ解説の森脇氏はグロックがイエローコーション中にグロックがハイドフェルドを抜いたように見えたらしい)。マシンを降りたウェバーがマシンに乗ったままレース再開を待つハミルトン、マシンを降りたアロンソら有力ドライバーに話しかけている。彼はGPDAのリーダーであり、ドライバーの意見をヒアリングしているのだろう。
そして19時52分(日本時間)、レース終了が決定。31周目終了時点の順位での確定となったため、バトン優勝、ハイドフェルド2位、グロック3位の表彰台となった。4位以下、トゥルーリ、バリチェロ、ウェバー、ハミルトン、ロズベルグまでが入賞圏内。中嶋は12位。フェラーリの2台はマッサ9位、ライコネン14位となり、開幕戦に続いてノーポイントに終わった。また規定周回数の75%に達していないため、ドライバーの獲得ポイントは通常の半分となる。
●バトン開幕2連勝 ブラウンGPに更なる勇気を与える結果
大混乱のレースの中、勝利を収めたのはバトン。スタートで出遅れ、且つ上位陣では最多の4回のピットストップを行った彼だが、それでも彼が勝ちきったのは、やはり彼がレースの主導権を握っていたからだと思う。ポイントは半分になるとはいえ2連勝という結果は、ブラウンGPという小さなチームに再び大きな活力を与えるだろう。
2位のハイドフェルドは混乱のレースを上手くかいくぐった、いかにもベテランらしいレース運びを見せたと思う(彼はただ一人、1回しかタイヤ交換していなかった)。クビサが残念ながらマシントラブルでレースできなかった中、BMWに今シーズンの初ポイントをもたらした。3位グロックは他のマシンがヘビーウェットに交換したなかで、ほぼ唯一インターミディエイトで走っていた選択が見事にハマった。ただ雨が激しくなった中で、バトンに抜かれて優勝のチャンスを逃したことは少し悔やまれるかもしれない。
最後にやはり今年から現地時間の17時に変更されたスタート時刻について触れねばならない。スコールの可能性が高まるこの夕方にレースを行うことはいかがなものか。当然、真昼であっても雨が降る可能性はゼロにはならないが、欧州の視聴者が見やすいという理由だけ(と言い切る)で、レースの混乱度や危険性が高まる時間帯に変えることには大反対だ。
F-1は開催地だけを見れば、かつての欧州のスポーツからワールドワイドなスポーツに変貌を遂げているが、こういう事態を見せ付けられるとやはり未だに欧州中心の考え方から抜け出せていないことを痛感した。またもしこういった「欧州人の都合」だけで日本GPまでが夕方、もしくはナイトレースになってしまう事態になれば、我々日本のF1ファンからすれば本当に迷惑なことだと僕は思う。
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