バルセロナが前年王者・ユナイテッドを下し欧州制覇!! ~2008-09 UEFAチャンピオンズリーグ 決勝 バルセロナ 2-0 マンチェスター・U ~


2008-09UEFAチャンピオンズリーグファイナル、素晴らしい攻撃サッカーを展開してきたバルセロナと、手堅い戦いで2シーズン連続で決勝進出を果たした前年王者マンチェスター・ユナイテッドとの注目の決戦は、2-0でバルセロナが勝利。2005-06シーズン以来、3シーズンぶりの欧州制覇を果たした。リーグ制になって以降初のCL連覇を目指したユナイテッドだったが、「史上最強の攻撃サッカー」をこの決勝の舞台でも見事に披露したバルセロナにその望みは絶たれた。
●前半 最初のチャンスで得点を挙げたバルセロナがゲームをコントロール
前半開始からペースを握ったのはユナイテッド。開始10分までユナイテッドはロナウドを中心に5本のシュートを放ち、非常に良い立ち上がりを見せていた。惜しかったのは前半2分のチャンス。ロナウドのFKのこぼれ球をパク・チソンが決め切れていれば、この試合の行方は全く違ったものなっていただろう。しかしこのピンチを元・ユナイテッドのピケ(彼は今シーズンに大きく実力を伸ばした選手だろう)が間一髪のところでクリア、浮き足立つチームの危機を救った。
ユナイテッド攻勢の流れが一変したのは前半10分のエトーの先制ゴールだった。このシーンでは中盤でボールを奪ったイニエスタがスルスルと中盤を上がってきたところを、キャリックとアンデルソンが全く捕まえられなかった。彼ら二人とも、どちらかと言えば攻撃的な選手。本来であれば中盤でチャンスの芽を摘み取る役目を負っていたフレッチャーの不在は、ユナイテッドの中盤の守備力に少なからず影響があったといえるかもしれない。最初のチャンスで得点を挙げたバルセロナはそれ以降、攻守のバランスをきっちり保ち、ユナイテッドに攻撃のチャンスをほとんど与えなかった。
●後半 大きかったメッシの追加点 噛み合わなかったユナイテッドの攻撃
1点を追わなければならないファーガソン監督は後半開始からアンデルソンに代えてテベスを投入する。しかし流れは前半からほとんど変わらず、ユナイテッドは決定的なチャンスを全く作ることができない。ロナウド、ルーニー、テベス、そして後半21分にはベルバトフまで投入する積極的な采配を見せたが、如何せん彼らに良いボールが渡るシーンが少なすぎた。アンデルソンを下げたことで、ユナイテッドの中盤中央の選手はキャリック一人になってしまい、バルセロナに中盤の主導権を完全に握られてしまった。そして本来攻撃面のパス供給元であるキャリックの守備面の負担が更に増えてしまったことで、ユナイテッドの攻撃はほぼ完全に機能を失ってしまったように見えた。
そんな流れの中で生まれたのが、メッシの(彼には珍しい)ヘディングでの追加点。セットプレイでのユナイテッドの強さを考えれば、流れを完全に掴んでいたとはいえ1点のリードはバルセロナにとって全く安心できる状況ではなかったが、この得点により80%勝利を掴んだ。そしてこの得点直後のユナイテッドの後半唯一の決定機をバルテスが懸命に防いだ後、ユナイテッドに反撃の力は残っていなかった。
その後もバルセロナのポゼッションは色あせることなく、最後まで王者ユナイテッドを翻弄。2-0のままタイムアップを迎え、バルセロナが新たな欧州王座に君臨することとなった。
●史上最強の攻撃サッカーが欧州制覇 ファーガソンには少なからず後悔が残るか
勝利を収めたバルセロナは、決勝の舞台でも自らの攻撃性を見事に貫いた。「史上最強の攻撃サッカー」という評価がこの試合前からも言われていたけれど、前年王者のユナイテッドを下し文句の無い形で欧州制覇を果たした彼らにこそその称号が相応しい。
今日のゲームで改めて感じたのは、イニエスタの絶大な存在感だった。今日の勝利が全員で掴んだ勝利であることに疑いの余地は無いけれど、その中でも先制ゴールに繋がったシーンを見ても分かるように、ドリブル、パス、シュートの全てにおいてミスが非常に少なく、かつ局面で効果的なプレイを選択できる彼の存在感は特別なものだった。
一方敗れたユナイテッド。一言で言えば、彼ら本来の戦いが全く出来なかった決勝戦ではなかったか。攻撃と守備の両面で、非常に中途半端な内容に終始してしまったという印象が拭えなかった。
この試合の前にファーガソンは「守備的なゲームはしない」と言っていたけれど、心の底ではバルセロナが準決勝で対戦したチェルシーのように、守備に重きを置いてカウンターを狙う戦術を取りたかったのではないだろうか。流れの中で攻撃の芽を摘み取れるフレッチャーが不在だったからこそ、尚更チェルシーと同じようにはっきりとカウンターを狙う戦い方をすべきだったように僕には思える。
しかし同じイングランド勢であり、結果的にバルサに敗れたチェルシーと同じ戦い方をすることは、バルサと同じ攻撃サッカーを標榜するファーガソンには許されなかった。彼らは前年度王者でもある。その彼らが決勝という最高の舞台で守備的な戦術を取ることは、ファーガソンの、ユナイテッドのプライドが許さなかった。攻撃性へのプライドと結果を求める現実性、ユナイテッドとファーガソンは、相反する2つの想いが混在したままこの決勝戦に臨んでしまったのではなかろうか。そして今日の試合展開と結果を振り返れば、ファーガソンには少なからず後悔の念が残るように、僕には思える。
| 固定リンク

コメント